宇治自治体問題研究所
市の財政への見解・提言
宇治市の財政
発行 2020年8月
要約版
私たちが考える
宇治市財政への見解・提言
2020年8月
宇治市財政を題材に「財政をそもそもから学ぶ連続講座」を行いました。私たちが学習し、考えた宇治市財政についての見解と提言は下記のとおりです。
1.宇治市財政は、府内トップクラスの財政力を持ち、実質公債費比率など財政の健全性を判断する健全化判断比率からみて健全です。つまり、府内の他市で実現できている住民要求に応えられる財政力を持っています。
2.宇治市財政には厳しい面もあります。その主要な原因に、府内・全国の自治体がかかえる共通の問題・・・国による地方財政への財源保障が不十分・・があります。宇治市に対し、この問題の解決に取り組むよう求めます。
(1)宇治市は(単独でも他自治体、市長会などとも共同し)国に対し地方財政に十分な財源を補償するよう要求すること。 国による地方財政への財源保障が不十分であることを、市民に広く明らかにして、世論を力に政府に政策の転換を迫ること。
①地方財政計画の一般財源総額実質前年度同水準ルールを抜本的に見直し、地方財政の抜本的な改善を求めること。
②地方交付税制度の改善など一般財源を拡充すること。
③国庫支出金制度を拡充することなど。
3.コロナ禍を経験し、「小さな政府」「自己責任」の新自由主義がまん延する社会の脆弱性が明らかになりました。今回のコロナ禍を克服したとしても、人類は新たな感染症への対応が迫られます。「ウイズコロナ」「アフターコロナ」社会は、新自由主義に代わる新しい社会の実現を求めています。公衆衛生・医療、福祉をはじめ広く「公共」の充実が求められます。
自然災害が毎年のように全国各地で発生しています。宇治市も2012年に豪雨災害に見舞われました。自然災害を未然に防ぐ、住民の命と財産を守る、災害からの復興に自治体は重大な役割を担っています。「公共」・自治体が役割を果たすためには地方財政の充実が必要です。
(1)府内トップクラスの財政力を活かし、求められる役割発揮に努力すること。
(2)宇治市は国に対し、必要な財源確保を求めること。
4.市独自の増収にむけて
(1)税収を増やす
税収を増やすために、市として戦略をもって取り組む必要があります。ポイントは、お金が地域で循環する地域循環型の地域経済をめざすこと。
①人口減少の抑制(子を産み育てやすい宇治、年老いても安心して暮らせる宇治)
②働く人、市民の所得補償(消費購買力の拡大)
③地元企業・事業者への支援(地元雇用を支え、納税してくれる)などの強化をすすめる。
(2)効率的な行財政の運営
行財政の効率的運営にむけ不断の取り組みを行う。その際、自治体の本来の役割(住民福祉の増進、住民自治の発展)を踏まえ、見直す施策の優先順位を定め、住民合意で効率的運営に努める。
5.「宇治市財政健全化推進プラン」によるこれ以上の財源対策(「一層の行政改革」)は止め、いきすぎた「行革」を見直す。