宇治自治体問題研究所
コロナ禍と自治体財政
(4)
公開講座 2021年1月31日
講師 平岡和久さん
講演から(文責は宇治自治問研 H・T)
自治体の予算対応と歳入のチェック事項
講師の平岡さんは、「自治体の予算対応と歳入のチェック事項」として、下記を指摘しました。
•政府の総合経済対策と「15ヶ月予算」に対して2月補正と2021年度予算で対応
•2月補正でのチェック事項
①税収などの減収と減収補てん債、減収対策債などの財源手当、
②地方創生臨時交付金の充当などによる財政調整基金の積戻し、
③予算執行の効率化、事業の中止・見直しの反映等を含む減額補正
•2021年度当初予算でのチェック事項
①地方税・地方譲与税収の減少、
②地方交付税・臨時財政対策債の増加、
③国庫支出金、
④財源不足に対する特別な手当(財政調整基金等の取崩し、行革推進債、退職手当債)
総合経済対策と「15か月予算」について
令和3年度(2021年度)予算編成の基本方針(令和2年12月8日閣議決定)の「2.予算編成についての考え方」に次の記載があります。
② あわせて、感染拡大を押さえながら雇用と事業を支えるとともに、ポストコロナに向け、経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民間投資を促進するなど民需主導の成長軌道に戻していくため、感染症の拡大防止策、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安心の確保を柱とし策定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(令和2年12月8日閣議決定)に基づき、いわゆる「15か月予算」の考え方で、新たに令和2年度第3次補正予算を、令和3年度当初予算と一体として、編成する。
新たな「総合経済対策」(2020(R2)年12月8日閣議決定)
•総合経済対策の規模
財政支出40兆円、うち国・地方の歳出32.3兆円、財政投融資7.7兆円
国・地方歳出32.3兆円のうち
①新型コロナ感染拡大防止策4.5兆円程度
②ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現13.4兆円程度
③防災・減災・国土強靱化の推進など安全・安心の確保4.4兆円
④予備費10兆円(うち2020年度5兆円、2021年度5兆円)
•国・地方歳出のうち国費30.6兆円、そのうち3次補正予算は20.1兆円(一般会計19.2兆円、特別会計1.0兆円)
「総合経済対策」の問題点
•感染拡大防止への予算措置がきわめて不十分、医療機関支援への予算措置の欠如(無症状者へのPCR検査への財政措置の大幅拡充や医療機関への減収補てんなし)
•持続化給付金の再支給なし → 中小事業者の淘汰へ
•一方、ポストコロナへのデジタル化やグリーン投資などに多くの予算措置(3月までに効果的な執行ができるか?)
•財政民主主義に反する巨額の予備費を継続(2020年度5兆円、2021年度5兆円)